なぜか「注ぐ器」が大好きである。訳もなく水を注いだり、戻したりするのが好きなのである。
水滴の口を作るには、吹きガラスならではの、特殊なやり方がある。
口を付けたい部分に、熱いガラスのタネを巻き取ってペタリとくっつけ、吹き竿に強く息を吹き込む。すると熱いタネがくっついた部分も柔らかくなっているので、膨らんでくるのである。
それをタネをくっつけた竿で引っ張って、注ぎ口らしい形にしたら、タネ竿の切り離したい部分に水をチッと付けて、ヒビを入れてタネ竿を切り離す。
舩木先生のところにいたとき、先生に作り方を聞いたら、
「俺もうまく出来ないんだが・・・」
と言いつつ、一人で見事に二刀流で、チロリを作られた。
「薄く吹くから、さましには入れなくていいんだ。」
と、吹き竿から切り離し(半玉でくくってあるので、すぐ離れる)
ポン、と炉前のレンガに置かれたチロリの美しかったことを、今も思い出す。
コメント