モールとはmoldのことです
いつも説明したいのだが、モールとは英語でmould[型]の意である。ショッピングモールや、車のきらきらしたメッキの飾り、のことではないと、ここで声を大にして説明したい。
「ガラスの表面に筋もようをつけるための、吹き込み型のことをモール、という。」
モールというと、勘違いされやすいので、私は自分の作品でモールを使ったものは、モールド、と名付けるようにしている。
16モールドの一輪挿し、とかいったぐあいに。
筋の数によっていろいろと表情が違ってくるし、ねじることにより筋が重なり、ガラスならではの光の効果が出せるのも楽しい。
ねじらないでまっすぐのままだと、やきものの「しのぎ」に近い感じになる。
また、5本から6本の筋をあまりねじらずに吹き上げると「面取り」のようになり、これはこのコップのように私が好んで使う技法である。
これもモールを利用したコップと、ワイングラス。
モールの道具はこんなの
ちなみに、モールの道具はこんなやつである。
鉄の筒状のものと、鉄棒があれば溶接して、自作できる。
あとあとの錆のことを考えると、ステンレスで作ったほうがいい。高いけど。
この中に熱いガラスを吹き込んで、ぷうと膨らませると筋模様がガラスの表面につくわけだ。
板の数によっていろんな感じのモノができる。
板の数イコール=ガラスにつく筋の数、になる訳だが、数が少ないとゆるやかで、やさしい感じのものになり、数が多いとシャープで、インダストリアル(工業的な)な感じが出る。
どちらを使うかは仕上がりのイメージによります。
私は10種類ほどのモールを持っているが、なぜか使うやつは、よく使うが、使わないのはあんまり使わない。
たまに思い出したように、使わないやつを使ってみるが、なんかピンとこないのだ。
そして、人に作ってもらったものより、自分で作ったモールのほうがいいものができる気がする。
モールの使い方は千変万化
また、一つのモールでも、入れるタイミングや、冷まし具合、どれだけ膨らませてから、吹き込むか、などの違いで、出したときの表情は千変万化する。ちょっと大げさだったが。
たとえば、吹き込んでから強くブロウすると、筋模様が強く出るし、小さめに吹いた玉を吹き込んで、モールから出してブロウを入れていけば、模様がゆるく、広がっていく。
作るものによって、このボウルはモールをゆるめにしたい、とかあるので、そうやって調節する。
また、裏技的に、先程のような、鉄板を組み合わせたモールの、上のエッジのところを利用して、口辺に輪花模様を付けることもある。
とにかく工夫しだいでいろいろできるところが、モールを使った技法のおもしろいところである。
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